だんだん明るくなる:ロンドン→ブライトン

15日にロンドンに到着して、ちょうど今日は折り返し地点。旅の記録を少し書いておく。日程的には順番が逆になるが、まずは今回の旅のメインである、ブライトンから。

ブライトン(Brighton)はロンドンから80kmほど南下した海岸にある街で、サセックス(Sussex)地方最大の都市になる。電車で1時間くらいなので、ロンドンに通勤している人もいるという。ロンドンとブライトンは、そんなに遠くないのにずいぶん性格が違う都市だ。電車で到着し、駅に降りると、まちが明るくてカラフルな上に、人々の口角が上がっているように見えた。

出発前に「古い観光地だから、日本で言うと熱海みたいなものかな…」と言った事情通の方がいたが…たぶん熱海の古い観光地の雰囲気(おみやげ屋さん街とか、温泉宿とか)と、湘南のオシャレさをかけあわせ、鎌倉の歴史と情緒をミックスして、下北沢のアングラな感じを足して、お客さんと住民の国籍を色々にして、観光地として規模を10倍にした感じである。

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ブライトンは初め漁村として発達し、1750年頃に医師のRichard Russellにより、海水浴を利用した療養地として、都市から患者が送り込まれるようになり、1840年に鉄道が開通してからは、帝国随一のビーチリゾートとして繁栄したそうだ。現在も多くの観光客を迎えており、私見ではリタイア後の人生の休暇をゆっくり楽しむカップルや、英国国内の修学旅行生、スペイン語圏からの旅行者も多い。

海岸が長いビーチになっており、海の家(カフェ)やプレイコート、芝生などが適度に配置されている(一番上の写真)。写真には写っていないが、138mのタワーも建設中で、歴史がありながらも近代リゾートの俗悪な感じが入り混じった土地に見えた。街の中心部にある建物の多くはRegencyスタイルといって、1820年代に建てられた歴史あるものであるそうだ。2番めの写真は、Regencyの名前の由来となっている王族を称える広場。3番目の写真はお土産物屋さんが立ち並ぶLaneというブロックで、宝飾品店が異常に多い(ここは熱海を感じる)。

到着後1日目は、街の中心からバスで30分程度のところにあるサセックス大学へ。ブライトンの街と同様に、明るく開放的な雰囲気。アジア系、アフリカ系、アラブ系の学生も多い(ほとんど全てを網羅しているとも言う)。進学予定のIDSの建物も覗いてみる。大学から独立した研究機関だけあって、IDSのバーとレストランがある。メインの図書館に隣接しており、学内でも独特の位置を有していることが感じられた。

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ブライトンの街は、ゲイ文化の中心地としても有名。大学構内にもこれが随所で見られ、たとえばトイレは女性用・男性用・ジェンダーフリー用の3種類の表示がある。Toiletsのピトグラムの左から3人目、半分スカートの「第3の性」の人になっているのが分かる。他にも、学内にLGBT相談窓口が設けられていたりするようだ。

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ブライトンのゲイ文化の歴史は古く、1830年代には既にゲイ(ホモ)の出会いの場になり始め、1930年代にはその他のセクシャルマイノリティの間でも、広く知られることになっていたそうだ。今日でもゲイ・パレードが華やかに行われ、年間を通した最大のイベントになっている。

ここに書いている歴史的な記述は、ほとんどLoyal Pavillion Museumの展示から引いているものだが、博物館の展示もゲイ文化の紹介がある。紹介するコーナーがあるだけではなく、”LGBTQ Trail”という館内マップがあり、随所に配されたLGBTQにかかわる作品(常設用)をめぐることができる。ミュージアムショップにも、偉大なゲイを集めたマグカップが置かれていた。

ちなみに、子ども用の”アニマルトレイル”や”博物館をスパイ”といった館内案内もあり、ともすればボンヤリしがちな博物館や美術館も、自分ならではのテーマを持っていたら面白くなる。大英博物館や、ずいぶん前に行ったルーヴル美術館でも感じたが、展示の順路が明確に設けられておらず、その代わりどこから入ってもそれなりにストーリーが分かるようになっていて面白い。古い建物を使っているから、一通りの順路を設定しづらいとか、建築上の制約によるからもしれないが、自分で興味を持ったものを好きな順番に見ていくことができる。

Loyal PavillionとMuseumのある空間も、イギリスらしからぬ奔放な庭園になっている。まず建造物がよく分からない様式だし。私が訪れた日は、庭園の中央でおじさんが1人、小さいエレキギターで、ロックをやっていた。結構上手かった。

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ブライトンのゲイ文化は、街の発展と歩みを一つにした文化なのである。街がリベラルで、多国籍の人々を歓迎し続け、今もまさにBright=キラキラしているのは、この文化が寄与する所が大きいはずだ。日本も最近LGBTの「受入れ」が盛んとなっているが、どこかの都市がゲイ文化の中心となり、観光地として惹きつけることができれば、向こう300年以上の街の安泰が保障される…かもしれない。ただし、マイノリティを受け入れるというか衝突もありながら、この地で育ってきた文化であると思うので、中々簡単に真似はできないだろう。

博物館の展示には、ブライトンが多様性を受け入れる街であり続ける努力をしている、その表現としての展示スペースがとられていた。ひとつは民族の多様性の展示で、ブライトンで相当の規模のコミュニティがある民族の若者が、自分たちの文化や宗教を紹介するというもの。もうひとつは、障害者にかかわる展示で、博物館の建物がかつて傷痍軍人(特に足を失った人)の療養地となっていたことの紹介だった。

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今回の滞在では、街の断片を拾ったくらいでしかないが、また9月以降は、もうすこし色々な側面からブライトンを知ることができたらいいと思う。宿はWaterlooストリートにある、Seagragon backpackersというところだったが、こじんまりとして清潔で、スタッフは親切だしとても良かった。日本語ペラペラで別府で1年弱働いていたという徒歩旅行のフランス人のパン職人のお兄さんや、アフガニスタン人でロンドンで美容師をやっているけど元々銀行員だったという謎のおじさんなど、同宿の人達も面白かった。

ただし、どこに行っても英語があまり聞き取れなくて、とても残念。

こんな感じのブライトンに来る前は、ロンドンに滞在していた。巨大な街をウロウロするのは嫌だったので、1.5日間の滞在で、大英博物館しか行かないぞと心に決めていた。取り敢えず博物館は巨大で、全部無料で写真撮影もOKというのはスゴイ。帝国の富の力を目の当たりにできる。あと、床の模様が展示室ごとに凝っていてかわいかった。全体的に期待どおり天気が悪くて、4月なのに寒くて仕方なかった。

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随分性格の違う2つの都市ではあるが、ロンドンとブライトン、どちらも英国の文化が研ぎ澄まされて結晶したような街なのかなと思う。ロンドンはまじめで知的でしかつめらしい、フォーマルなイギリスの中心。ブライトンは知的だけど自由であろうとする、あるいは構造から逃げようとする、いうなればコインの裏側かなと思う。

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