イギリス大学院受験記(準備~進学先決定~退職)

通常業務の納品がほとんど終わり、いよいよ退職が近づいてきたので、何かあるたびに付けてきたメモをもとにして、ここまでの顛末を書き残しておこうと思う。

準備(2015年4月)~進学先決定(2016年2月)〜退職(2016年4月)まで、受験のために何をしたか、会社にどう伝えてきたか、時系列順になっている。これをもって進学準備は一区切りとして、次のステップに向けて動き出すために。

2015年春、イギリスの大学院に行くことを決めてから、出願の準備とともに会社の上司と相談をしてきた。働きながら大学院受験を考える人にとっては、大学への出願だけじゃなく、周りの人にできるだけ応援してもらうことが、とても重要なことだと思う。私の場合は、現職の「まちづくりのコンサルタント」という仕事と、繋がりのある分野に進学することもあり、会社で作った人間関係は、どうしても大切にしたかった。ちょっと打算的な意図もあるが、何より、学ぶことがまだまだあるからだ。

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★初期設定
私=国内大学で経済学修士を取得、会社人3年目、フルタイムのサラリーマン、1987年生まれ。海外在住経験なし。大学院が合格したら退職して渡航する予定。

ねらい=イギリスの大学院で開発学修士を取得する。研究対象としてフォーカスするのは、産業振興・SME(中小企業)施策の予定。実務・アカデミック両面でコネクションを作り、関連分野での働き口を探したいと考えている。

なぜイギリス=開発学の集積があり、トップレベルの大学があることが一番の理由。そして、アメリカの大学院よりも受験が簡単。学費は高いが1年で修士号が取得できる。イギリスの大学は海外における顧客集めに積極的で、受験のしやすさや、出願エージェントの充実ぶりによく現れている。お金を用意したら、どこかしら入れてくれるはずだ。

 

★何をしたか

出願を代行してくれるエージェントのサービス(無料)を利用し、4つのイギリス大学院に出願した。具体的にやることを並べると、①志望校決定、②推薦状の手配、③願書や履歴書作成&翻訳、④学位・成績書類取り寄せ、⑤出願、という感じ。これにプラスして、⑥英語のスコア取得はこれに先駆けるか並行で行う。

大変なのは②③⑥だろう。③は短期間でも力づくで乗り切ることができるが、②は大学の先生や職場の上司にお願いすることなので、ダンドリよく時間的に十分余裕をもってやらないと難しい。⑥は最も長期的・日常的な取組みが必要。

 

★出願コストと時間

必要経費はIELTS受験料含めて6万円くらいだった。出費が想定されるのは英語テスト(IELTS)の受験・受験準備と、出願書類の添削になるが、英語はネット英会話で勉強し、書類は8割がた知り合いに添削してもらった。英語の添削を全部外注したらそれだけで10万くらいかかると思う。

時期的なところでいうと、私の場合は4月末に大学選びに着手、7月に英語スコア取得、9月下旬に出願、11月に進学先決定と、かなりスムーズにいったほうだが、それでも半年強かかった。会社との調整は、上司との世間話レベルで、進学が決まる1年以上前から話していたと思う。

 

★総括

結果的には4校出願し、すべてにUnconditional Offer=無条件合格を得ることができて(英語のスコアが足らない場合などはConditional offer=条件付き合格となる)、幸せなことに、開発学の分野ではトップの研究機関である、Sussex大学とManchester大学で迷うという事態になった。

何が合格の要因だったかを考えてみると、以下の4点に集約できると思う。英語スコアやエッセイは、そんなに差がつくものでは無いので、ないがしろにしてはダメだが、及第点が取れればいい。それよりも、これまでやってきた事が理解してもらい、出願の動機に納得してもらえることが、評価に繋がるのではないかと感じている。

①出願が早かった → 段取りが全て
イギリスの大学は9月下旬から出願を受付け、合格基準に達した応募者に対して、都度合格を出していくシステム。明確な出願期間が設定されておらず、定員に達したらクローズとなる。合格の基準があるとはいっても、早く出願するだけでかなり有利になるようだ。私は願書受付け開始直後に出願し、1つの大学にはほぼ即日合格をもらった。イギリスの大学院だったら最重要のポイントだと思う。とにかく早く出願するに尽きる。

②学術業績が修士レベルでは優れている(多い) → 論文の類は多少難ありでも世に送り出しておくが吉!
査読つき論文2本、書籍の章1本、国際学会口頭発表1本、アカデミックレクチャー2回(国内大学、タイの大学)、研究会発表2回、というのが私が履歴書に書いた学術業績だ。これに賞罰として、JASSO(日本学生支援機構)の奨学金返還免除。これは修士修了のレベルでは多いほうだと思う。実際のところは、身内の研究会での発表だったり、ちょっとヨロシクと頼まれた短いプレゼンだったりするが、
CVに書く業績は、残念ながら中身よりも名目が大切なのである。

ここから2点は他力のはなし。

③私のことをよく知っている大学教授から推薦状がもらえた → 先生とのつながりは大切。
大学院出願には通常アカデミックに職のある2名から、2通の推薦状を書いてもらうことが必要。職歴と直結した進学であれば、会社や組織の上司になる。私は出身大学のある京都で就職したこともあって、就職してからも先生とのつながりが続き、研究会やサマースクールのイベントなど、ちょこちょこと参加していた。そのため、お願いするときから非常にスムーズだったし、多忙にかかわらず先生方は丁寧で的を得た推薦状を書いてくれた。

④翻訳者が自分のことをよく分かった研究者だった → 先輩とのつながりは大切。
書類で英訳が必要なのは、エッセイ(600~1000 words程度)、CV、そして推薦状のタタキ。当初は翻訳業者に頼んだものの、専門用語の解釈がしっくりこなかったり、不自然であったり、満足できるレベルではなかった。そこで、大学で働いている研究室の先輩にお願いして、何回かやりとりをしながら書き上げた。忙しい仕事の中でお願いするのは、物凄く申し訳なく、自分の力(お金の力)で解決したいと思っていたが、やっぱり無理。頼れる人がいるなら頼って、あとで恩返しをさせてもらおう。


【2015年】

●4月28日
大学院情報を集めてたら、留学エージェントがヒット。実績がありそうかつ何となく政府系な匂いのするところへ申込み。

 

●6月6日
留学エージェント担当者が決まり、学校など相談。大学のホームページや留学ブログをチェック。IELTSの勉強を開始。

 

●6月30日
イギリス志望校をSussex大学、Manchester大学、East Anglia大学、Birmingham大学、そしてLSEに決定。いずれも、Development Studiesの一番ベーシックなコースとする。大学の先生に推薦状の依頼。主査、副査ともに快諾頂く。一方で、仕事のヤマが重なり、IELTSの勉強ができず苦しむ。毎日始業前に30分、帰宅後はネット英会話でスピーキングとライティングを30分を目指していたが、試験前1週間は勉強時間ゼロの日が増えてしまった。

 

●7月11日
IELTS受験(前日まで紙ベース回答の上、筆記用具が鉛筆と知らず、焦る)

 

●7月末
IELTS結果オープン、Reading 7.0, Listening 7.0, Writing 6.5, Speal7.0 ➡overall7.0を確保。
SussexとLSEにはぎりぎりのスコア!!あぶない、あぶない!
受験料高いし、もう英語資格関係のテストは一生受けたくないな...とはいえ初めての受験で、スコアが足りて本当に良かった。勉強のやりかたに関しては、ネット英会話への投入時間を半分くらいにして、自分で文章を書いたり、独り言を言ったり、復習・反復の時間をもった方が良かった。先生がアカデミックに対応してない場合があるし。
なにはともあれ、IELTSが終わったので、エッセイのドラフトづくりを開始。

 

●8月20日
エッセイとCVドラフト完成、エージェントに添削を依頼。この間に大学の先輩にも、内容と英語の添削をしてもらう。さらに両先生からの推薦状が届く。Manchester大学はカバーレターも必要。大学から卒業証明書や成績表(英文)を取り寄せもしないとならない。

 

●8月末
イギリス以外にスウェーデンやスイスの大学院もチェック、学費やランキングを考え併せてスイスのUniversity of Barselはあり得る?

 

●9月6日
エッセイとCVを仕上げ、推薦状等書類一式をエージェントに提出。LSEはエージェントが使えないので、別にエッセイを準備し始める。
最初にエージェントに相談してからちょうど3か月。合否が年明けとすれば、折り返し地点だ。

 

●9月23日
エージェントから出願開始連絡あり

 

●9月24日
マンチェスター大学から『Conditional offer(条件付き合格)』の連絡あり。

はやっ!ふつうのメール返すにしても早い…
ほんとに審査してるのか?疑わしい。何かの間違いじゃないのか?疑念と不安だけが心をよぎる。

マンチェスターといえば、25人のノーベル賞を輩出している大学。あとケミカル・ブラザーズの出身校。『条件』とは、推薦状の確認と、エッセイが長すぎるということ。先生には合格の報告をかねて、再度の依頼を連絡した。

そういえば、マンチェスター出願の時に、ちょっとしたハプニングというか、心に残っていることがある。出願に際し、統一様式のカバーレターが必要で、そこに進学希望のinstitution名を書くのだが、どう見ても文字数に対しマス目が足らない。頭文字の略称とか書くわけないよね?こんな事で大学に問合せたら『日本人、こんなしょーもない事聞いてきよる…細かいなあ』と思われるに違いない…困ったすえ、マス目を無視して書いた。結局全く問題なかったみたい。日本ではいかに丁寧でそつない事務システム(但し非効率)に甘やかされているか身に沁みた。

【結果①】
学校:The University of Manchester
コース名:MSc International Development
審査結果:Conditional acceptance(条件付き合格)

※翌日、エッセイはやっぱり大丈夫だったということが判明。海外のおおらかさ。
※追記、推薦状を送り直して10月15日にunconditional offer(無条件合格)を獲得。

 

●9月29日
東北・三陸に出張。夜、ホテルロビーで直属のボスに合格のことを話す。大学院で開発系の勉強をしていた人なので、喜んで応援してくれる。よかった。早々に大ボス(グループの部長)にも伝えたほうがよい、という話をした。

 

●10月10日
前日の仕事で終日展示会アテンド➡東大阪商店街の会議。キツかった…寝ぼけまなこのところに、UEAからのofferが!UEAといったらイギリスを代表する小説家カズオ・イシグロの母校。ロゴもカッコよくてオシャレなイメージ(それ以上のイメージがないとも言う…)。

【結果②】
学校名 : University of East Anglia
コース名 : MA International Development
審査結果 : Unconditional Offer(無条件合格)

 

●10月20日
職場の上司に退職の意思を伝えた。一個人として応援すると言ってもらう。私の採用の責任者であり、入社からずっと指導してくれた方。これに応えられるようにしたい。

 

●10月26日
こっそりBirmingham大学が無条件合格。

【結果③】
学校名:The University of Birmingham
コース名:MSc International Development
審査結果:Unconditional offer(無条件合格)

 

●11月18日
パリのテロ翌日からドイツ出張中。メディカル系の機器、部品展示会に出展するクライアントのお手伝い。デュッセルドルフ空港から電車でケルン市内のホテルへ移動。毎日のアテンドと、行き帰りの地下鉄の大混雑で、クタクタのはずなのに、なんだか早起きしてしまった朝、エージェントからメールが。待ちに待ったSussexのオファーが来ていた…

結果はunconditional。ほんと?と思いつつ、これまでの3校で手ごたえを感じていたこともあったので、落ち着いて結果を読む。これで出願中の大学全てからunconditional offerをげっと。先生方に報告メール。

コースの方向性とレベルの高さから、ManchesterとSussexにしぼって大学の担当者にコンタクトしつつ、4月に下見して最終的に進学先を決めたい。これにて出願は終了だ。LSEはもう出願やめる。

【結果④】
学校名 : The University of Sussex
コース名 : MA Development Studies
審査結果 : Unconditional Offer(無条件合格)

 

●12月12日
いろんな事があった2015年もあと少し。来年に入ったら取りかからなきゃならないことを明らかにしておこう。

①インターンシップ申し込み(2月中)➡国内(東京)に事務所のある国際機関やNGOへインターンシップを申し込む
②奨学金➡進学先はSussexでほぼ固まりつつあるので、奨学金に応募する。
③イギリス下見準備➡4月の中頃に、1週間ほどかけてイギリスを訪問したい。行き先は、Sussexメインで、Manchesterも。9~17日くらいと考えて、向こうの留学生担当にコンタクトしてみようかな。チケットはとっておき、仔細は4月に入ってからでいいか…
④聴講、論文➡卒論のフォローをすべきじゃないかと思っている。そのために、大学院の聴講を登録しておく。

追記:3月現在、①は予定変更、②はこれから、③④は準備ok。


 

【2016年】

●1月15日
会社のグループの新年会。併せて退職の旨を伝えた。突然の話に関わらず、皆さんとても温かい反応。ありがたい。特に、二人のボスは一昨年から色々な相談をしてきたこともあり、感謝。
軽口をたたいてはいけない。勝負はこれから。謙虚に、毅然とすすみたい。

 

●2月2日
奨学金の申請の準備などを考慮して、進学先をSussexに決定。ASEAN Studiesが弱いかなぁと思い、Manchesterと比較して決めるつもりだったが、下記の理由でSussexに行くのがベターと判断。

①先生方の薦め
②キャリアにつながるコネを作る機会があり、大学が丁寧にサポートしてくれそう
③どっちもASEANは強くないのではないか➡どちらが理論と手法の勉強によりよいかのほうが重要
④IDSのネームバリューと歴史➡2015年大学ランキング、開発学では1位
⑤気候が良さそう➡たくさん大学案内を見たが、Sussex大学以外はどこも晴れた日の写真が無かった。

ちなみに、ひとつの迷いのタネとして、クライミングができる場所かどうかというのがあった。イギリスは中部以北・西側を中心として有名な岩場がたくさんあり、その中でも特に有名なPeak District国立公園は、Manchesterから1時間もかからずに行ける場所にある。日本のクライマーから見たら、垂涎の的!

対するSussex大学のあるBrighton周辺は、イギリスのクライミング情報サイトで調べてみると、どうも岩場事情はかなりショボイことが分かった。最寄の岩場は小規模でロケーションもいまいち、ミシュランガイドのマスコットみたいな形の変な砂岩で、全然カッコよくない。ただしビーチリゾートの町だけあって、海は素敵。どう見てもマンチェスターの町より美しいし、楽しそう。

エージェントに連絡し、早速SussexにOffer受理の申請をしてもらう。
いろいろと考えて結論を出したが、果たして正しかったか、まだまだ分からない…

 

●3月19日
今年度最後の3連休は3連勤になった…初日の本日は、東大阪の商店街で、年度の締めのイベント。クライアントに対して、初めて退職の予定を伝える。皆さん「これからお互い頑張ろう!いつか、成果を報告し合おうね」と言って下さる。胸がいっぱいになった。

 

●3月22日
入社直後から3年間お手伝いしてきた、京都のものづくり企業の方々とのプロジェクト、最終年度がほぼゴールをむかえた。クライアントに退職の意向はまだ伝えず、いつもの通り社屋を後にする。駅からの往復、何度歩いたろう。最初は上司と先輩を追いかけて歩いた道を、今日は一人で歩く。

 

●3月23日
とうとう、桜が咲いた。なぜか最近、すごく早く目が覚めて、会社に行ってしまう。もうすぐ行けなくなると思うと、行きたくなるものなのだろうか?報告書作成・納品のラッシュがきており、おちおち眠れないのもある。

 

●3月29日
ほとんどの仕事、納品が完了。明日からは机の片付けをしよう。
6時に退社したら、京都の街は思いがけずカラフルで、春満開だった。

以上で、受験を決めてから退職に至る記録は終わり。これから、渡航の準備をだんだん始めていかなければならない。まずは、何より大切な、奨学金の申請から…!

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イギリス大学院受験記(準備~進学先決定~退職)」への1件のフィードバック

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