Record of Reading #6, 白石隆『海の帝国 』

先日(3/27)は最後の休日出勤。二日前にギリギリ仕上げた報告書の修正と、その概要版のタタキづくり、別の調査でやったアンケートのまとめ、その他こまごま発送作業。年度末はひたすら「文字と紙」に相対する。といっても、先週末は三連休で、イベントづくしだった。まず東大阪の小阪商店街でプロジェクトのお疲れさま会。

こちらでは、「子どもが集まり、地元を誇りに思えるように」という思いで、近鉄河内小阪駅周辺の若手の店主さんが集まり、大学や地元と一緒に協議会を立ち上げた。今年は、商店街の空き店舗に「ママラボ」を2015年10月にオープンさせ、色々な取り組みを進めてきた。最後の最後、商店街の活動PR強化のため、アルパックで企画した「アイディアコンテスト」の受賞者の方もきてくれて、和やかな年度締めに。

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個人的には商店街を専門に博士号をとった先輩の後継で入ったことや、商店街関連の仕事が初めてだったこともあり、悩みが絶えず、もっと機械的に淡々とできればいいのに、とか思う時もあった。なにより、本業のお商売をしてる店主さんとの間の取り方とか、もののお願いの仕方とか、自分の役目と領分がなかなか分からなかった。

しかし、コツコツ、真摯かつあまりクヨクヨせずやると、それなりのものが返ってくるということを実感した、今年度一番学びの多い業務だった。商店街の方々に心からお礼が言いたい。

三連休最終日は、高槻市でBBQの啓発イベントもあった。BBQは食べるんじゃなくて社交、日本BBQ協会の方が繰り出す色んなアトラクションに、ふだんは渋面の多い(失礼!)地元の重鎮の方々もい~い感じの笑顔に。これは昨年度から入っている「摂津峡」という自然公園と、その周辺の地域の観光活性化を狙った事業の一環

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市の職員の方も、とっても楽しそう(年度末だし)にBBQに参加されていて、行政のパートナーになるアルパックの仕事のスタイル、2年目に入ってやっと動き出した!と感じた。

しいたけは白い方を下向きにして焼いちゃダメですよ~!!と日本BBQ協会の理事長と、サポーターの大阪BBQラヴァーズの方々。火起こしのパフォーマンス後は、ステーキ、丸焼きピーマン、しいたけ、とまと、デザートにバナナのシナモンシュガー、キウイなどを、グリルのそれぞれ適正温度の場所で焼く。それぞれの個性が引き立ち、絶品に。

所かわって、京都。春だから、学生は旅立ちの時期。京大フリークライミングサークルからも二人の若者が旅立ちます。

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さて、日々の記録はここまで。久々に本を読了できたので、そのメモ。

石隆『海の帝国:アジアをどう考えるか』2000年。

白石先生は京大の名誉教授で、安倍内閣の外交ブレーンでもあり、とりあえずめっちゃエライらしい。米国コーネル大学でベネディクト・アンダーソンに師事。先日、寺町を奥さんと娘さんらしき方と歩いててびっくりした。身長が高く鷹揚としてて、遠目ではてっきり、日系アメリカ人の観光客だと思った。たぶん間違いなく本人だと思う。

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さて、本。大学の先輩に、留学準備の課題図書としていただいたもの。

少し刊行は古いが、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンなどが含まれるアジアの発達を、地理的にも時間的にも、大局よりとらえた本。細かで確かで膨大な知識により、一時代・一地域に錯綜するパワーバランスの分析が積み上げられ、大きい歴史的な波が読みとかれていく。書かれた時から大きく情勢が変わりながらも、アジアを理解するための、そもそものベースを提供してくれる本。

歴史を勉強するのも、こういうふうな大局図をイメージできたら、覚えたことを忘れないし、もっと役に立つよな~と思った。変態的な細かさで年号とか仏師の名前とか覚えるよりも、ガバッとした時代ごとの流れをイメージできるようになったら、歴史はもっと面白く感じるし、自分との繋がりも見えてくるのになあ。

かいつまんでいくと、まず東南アジアの主権国家は、とてもとてもヨーロッパでいうような「主権」国家としては誕生せず、欧米の自由貿易圏に食われる形で出現した。最初は植民地支配の下で、20世紀の後半はアメリカ(とその兵站基地としての日本)のヘゲモニー下で。そのため、近代国家を支える国民の「共通の社会的意思」を持たないインドネシアのような国家も出現し、このような「国」は、もしかしたら経済の落ち込みや、その他の突発的要因で、一気にバラバラになってしまうこともありうる。実際アチェやチモールは独立の機運が巻き起こった。
これが東南アジア。

 

これに対し、東アジアは大きく異なる道をとる。

まず、一番関心があるところかもしれないが、中国。植民地時代より、華僑のネットワークはアジア全域にひろがり、植民地本国と絶妙な関係を保ちながら、それぞれの国で勢力を強めていった。面白かったのは、中国は農民支配を基本とした農本主義国家であり、商業の繁栄はその国家体制をゆるがしてきた、というのである。過去の王朝はそのために衰亡してきた。

商人が強くなって国がそのコントロールをできなくなり、既存の体制が崩壊する、そういう歴史を繰り返したということを考えれば、現代の中国の姿勢も、現行勢力を守るためには合理的なのかな?著者は、「20世紀末に始まった「商業の時代」、中国は市場経済のダイナミズムを国力に反映できるか」つまり、「資本主義経済に適合的な国家を作れるか」と問いかけ、それはかなり難しい、と結論している。

さて、China as No.2 を謳歌している?中国の2016年の状況に、著者の読みは合致しているだろうか?まず、国家の介入があるにしても、ここ10数年の成長は目覚ましいので、ある程度資本主義経済に合致した形に展開してきたことは間違いない。ただし、景気の減速とともに、スモッグに覆われた北京などを見るにつけ、また政治家や学者の身柄が拘束されたなんてニュースを聞くにつけ、その力づくの体制をキープし続ける限界が近いことが感じられる。

 

そして、日本。

言わずもがな、アメリカが極東にもつ、政治的・経済的な拠点または代理人としての立場から、これまで東南アジア諸国との繋がりは、アメリカを 入れた三角関係であったし、今後もその構造が急激にひっくり返ることはない。

ただし、中国の領土拡大のフロントラインに面し、アジア政策にも新しい展開が必要。東南アジア諸国連合に日本が入るというのは、かなり無理がある。ましてや、「大東亜共栄圏」の思想よろしく、アジアのリーダーになる、という選択肢は無い。そこで、今後とも 「アジア諸国・各国地域」対「日本」という構図で進むだろう、と筆者は言う。

本書を通して感じたのは、国の領境がびっくりするほど伸縮自在であったということだ。そこに国家というくくりが持ちこまれたのは、まさに近代になる時のことで、「想像の共同体」で国民は国民性を発見する。個人的には、今後ASEANとの協調で、なんとか島アジア・海アジアのバランスが保たれるのが一番いいんじゃないかと思うが、それはどういった構図になるのだろう。

 

次の課題図書→ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』、読みかけてずっと放置してるから、そろそろ読もう。

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